供養とは

お墓参りや法事で耳にする「供養」とは何のことでしょうか? また、各地のお盆について日本の宗教のルーツである祖霊信仰から紐解いてみましょう。

祖霊信仰って何?

日本では、ご先祖様の霊は家と村を臨む山の高みなどに宿って、子孫と集落の繁栄を見守っていると考えられてきました。そしてお盆になると、霊は家に招かれて一緒に団欒のひとときを過ごし、また帰って行くとされています。
2008年の世論調査(※)によると、「あなたは信仰を持っていますか?」の質問に「信仰なし」の回答が72.2%だったのに、「お墓参りに行く」と答えた人は80.1%もいました。祖霊信仰は宗教というより行事として慣習になっているようです。
※國學院大學神道文化部教授 石井研士「世論調査による日本人の宗教性の調査研究」より

供養って何?

仏教の供養とは、仏様(ご本尊)を敬って香りと灯りと華を供えることであり、祖霊信仰の供養とは、ご先祖様や亡くなった人に食べ物や花などの供物を捧げて冥福を祈ることを指します。仏教ではお盆に盂蘭盆会の法要を行って供養をすることから、祖霊信仰と深く結びつくようになりました。お盆の行事で最も古いものは、推古天皇の606年だそうです。

お盆っていつ?

明治5年までの旧暦では、お盆を7月13~16日としていましたが、新暦に変わってから農作業の繁忙期を避けて8月13日~16日に行うところが多くなりました。
地域により時期が異なり、関東などで7月のお盆が残っています。

お盆って何するの?

お盆は、ご先祖様や亡くなった人の霊を家に招いて、おもてなしをする行事です。霊の乗り物(精霊馬)として、キュウリの馬と茄子の牛を飾ります。13日の夕方には盆提灯などの迎え火を灯して、霊をキュウリの馬に乗せてお迎えします。お盆の間は一緒に過ごして16日に送り火を焚くと、霊が茄子の牛に乗って帰ると考えられています。
お盆の行事のなかでも、京都五山の送り火や長崎の精霊流しは、夏を代表する風物詩としても有名です。