位牌とは
位牌は、故人の戒名や姓名などを記したものですが、仏教発祥の地であるインドには、位牌というものがありません。位牌には、どんな由来があるのでしょうか。
古代インドでは、ストゥーパというお釈迦様の遺骨を納めた仏塔が建てられていました。仏教がインドから中国に伝わると、ストゥーパは卒搭婆(そとば)と音訳されて、戒名や没年月日などを書いて故人を供養する長い板に変化しました。また、中国では儒教の葬祭に亡くなった方の官位・姓名を書いた木主(もくしゅ)という板を用いていました。仏教と儒教の風習が日本に伝えられて合わさったのが、位牌の起源だといわれています。
古くからご先祖様を身近に感じていた日本だからこそ、位牌は故人の霊が宿る依り代として広まりました。言うならば、位牌は故人そのもの。大切な思い出や好みの色など、故人をイメージしながら位牌を選びましょう。
位牌の種類
白木位牌(内位牌・仮位牌)は故人の戒名・姓名などを記して、枕飾りや葬儀に用いる仮の位牌です。一般的には四十九日の法要までに、白木位牌から本位牌に作り替えて、四十九日の法要と合わせて開眼供養を行い、故人の魂を移します。つまり、仏壇に安置されている位牌は、本位牌のことなのです。位牌には、塗位牌、唐木位牌、ガラス位牌、回出し位牌(繰り出し位牌)、小型位牌など、様々な種類があります。また、浄土真宗では位牌を作らず、法名軸や過去帳を用います。
塗位牌
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唐木位牌
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ガラス位牌
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回出し位牌(繰り出し位牌)
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小型位牌
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位牌の書き方
位牌には、梵字、戒名(法名、法号)、没年月日、行年(享年)、俗名を記します。書き方に定型の決まりがなく、宗派や地域によって異なります。すでに位牌がある場合は、書き方を合わせると統一感が出ます。
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梵字
梵字は、古代インドのブラーフミ―文字を由来としており、1つの文字で仏様を表しています。必ず入れるものではなく、宗派や地域、お寺様によって入れない場合もあります。
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戒名(法名、法号)
戒名とは、出家して仏門に入り、戒律を守る証として与えられるものです。本来は生前に授かるものですが、亡くなってから付けられることが多いです。院号、大姉、居士、信士、信女などの文字が使われます。宗派によって戒名と呼ばず、浄土真宗では法名、日蓮宗では法号といいます。
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没年月日
亡くなったときの年月日です。
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行年(享年)
亡くなったときの年齢のこと。行年は「この世に生まれて修行した年数」享年は「天から享(う)けた年数」と言う意味で、「享年九十」のように「歳」をつけない場合があります。年齢の数え方は、誕生日を迎えるごとに年を重ねる満年齢が一般的ですが、古くは生まれたときを1歳として、元旦を過ぎると1歳を加える数え年が使われていました。地域やお寺様によって考え方が異なりますので、確認をされると良いでしょう。
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俗名
生前のお名前です。
無宗派の位牌
無宗派の場合、位牌を作らなくても差し支えありません。でも「何もないと心もとない」「帰ってくる場所を用意してあげたい」という思いから、そのままのお名前で位牌を作ったり、ガラス位牌にメッセージを刻んだりする方が増えています。故人を偲んで手を合わせるとき、対象があると気持ちが落ち着くことでしょう。