梅雨の彩り~位牌レテ~
ギャラリーメモリア名古屋栄店です。
春と夏に挟まれたこの季節。しとしとと雨音だけが響きます。
薄鼠色にふくれあがったもわもわを見上げると、お日さまのあたたかい光りが懐かしくなりますね。
どんよりとした天気に気が晴れないこともありますが、梅雨にしか味わえない風情もあります。雨の中でこそ美しく咲く可憐な姿に、心動かされます。
今回、ご紹介する『輪島塗位牌レテ』は、梅雨の代名詞とも言われる『紫陽花』がモチーフです。小さな花が身を寄せ合って作るかわいらしい丸みと、雨に濡れた紫色の美しさが紫陽花の魅力。和名の「アジサイ」は、あづ(集まる)+さあい(真藍・青い花)という花が咲いている様子からきており、それが変化したものとされているそうです。
では、早速『輪島塗位牌レテ』をご紹介させて頂きます。
紫陽花が梅雨の代名詞なら、輪島塗は漆の代名詞と言われるほど。
石川県輪島市で生産され、120以上に及ぶ丁寧な工程を経て生まれる輪島漆器は、海外でも高い評価を受けています。沈金の技法を用いて描かれた紫陽花は、色彩豊かに表現され、ぼかしをつけることでさらにメルヘンチックな仕上がりに。楕円形の位牌を包むように沈金を施しており、湾曲した面を繊細に彫りつけるには、高度な技術と精神力が必要とされます。
(沈金とは、漆面にノミで文様を彫刻し、漆を薄く摺り込んで乾かないうちに金箔や金粉などを押し込んで、余分な部分を拭き取り、彫り文様を表す加飾技法。)
「レテ」とは、フランス語で「夏」の意味。紫陽花は俳句で夏の季語です。
艶やかな漆黒に描かれた紫陽花は、幻想的な美しさを感じさせます。降り続く長い雨を楽しんでいるかのようですね。洗濯物が乾かないとつい愚痴ってしまう自分が恥ずかしくなりました。自然をあるがままに受け入れる謙虚な心、ありのままに楽しむ素直な心、雨に濡れても元気に咲く可憐な紫陽花から教わりました。
『紫陽花や 帷子時(かたびらとき)の薄浅黄(うすあさぎ)』
松尾芭蕉の一句。「紫陽花が咲き、今年も帷子を着る季節がやってきた。ちょうど紫陽花も帷子も同じ薄浅黄色をしている」という意味の俳句です。江戸時代にも、梅雨から初夏の訪れを花や衣服から感じていたのですね、今と同じように。
今まで苦手だった梅雨の季節。なんだか少しだけ好きになりました。自然を慈しむ心のゆとりが大切なんだなあと、慌ただしく過ごしがちな普段の生活をちょっとだけ見直してみようと思います。
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