冬色仏具~星の夜・グリームのご紹介~宮澤賢治の世界~
ギャラリーメモリア名古屋栄店です。星の輝きが一段と美しくなるこの季節。
漆黒の夜空に浮かぶ無数の星を眺めるとじんわりと心があたたかくなります。
さて、そんな冬の夜空をイメージした仏具・「星の夜」と「グリーム」。
今回、宮澤賢治の代表作である「双子の星」、「銀河鉄道の夜」を題材に二つの仏具をご紹介させて頂きます。
*双子の星*
「 天の川の西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる小さな水晶のお宮です。
このすきとおる二つのお宮は、まっすぐに向かい合っています。夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛を吹くのです。それがこの双子のお星様の役目でした。」
物語はこのように始まります。初めて読んだとき、あまりにも美しくて自然と涙が。また、この双子のお星さまというのは、賢治と幼くして亡くなった妹のトシがモデルと言われています。妹に注ぐ愛情がひしひしと感じられる美しい物語です。
*銀河鉄道の夜*
「その天の川の水を、みきわめようとしましたが、はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。けれどもだんだん気をつけて見ると、そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、野原にはあっちにもこっちにも、燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。」
「銀河鉄道の夜」の中で、最も美しいと言われる、銀河の水の描写です。
貧しい孤独な少年が夢の中で親友と汽車の旅をする、と一言で要約するにはあまりにも深く悲しく、謎や魅惑にみちた物語。少年の貧しさと孤独の背後には、父の不在、母の病、同級生のいじめといった苦悩がひそんでいます。夢の旅のように見えますが、それは死者たちの乗る汽車であり、同行する親友カンパネルラは級友を救おうとして溺れたすえの、死出の旅路です。やがて、主人公ジョバンニは「みんなのほんとうの幸福」を求め、夢と決別します。
読み始めた時、きっと明るく楽しい夢のような物語に違いないと思っていました。でも、実際は全然違って・・・。夢の世界が美しければ美しいほど、引き戻された現実の悲しみの大きさにしばらく打ちのめされました。
賢治の世界観は純粋に美しく、せつない思いをしながらも読まずにはいられません。
また、賢治の優しく、あたたかいお日さまのような人柄が、作品には満ち溢れていていつも心がほっこり、ほんわかします。こんな寒い冬だからこそ、心にじんわりくる美しい物語が読みたいですね。
読み終わったら、夜空を見上げてみて下さい。
双子のお星さまが仲良く銀笛を吹いているかもしれません。
ひょっとしたら、銀河ステーションから銀河鉄道が走りだすところかもしれません。冬の夜はまだまだ長いです。どうぞ素敵な夜をお楽しみ下さい。
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