沖縄の海を表現した仏具「水影」、琉球ガラス職人・友利龍氏の想い

揺蕩う水面、輝きを宿す琉球ガラス仏具『水影』

沖縄の透き通った海を思わせる、鮮やかなエメラルドグリーンの仏具『水影(みかげ)』。ガラスの中に光と水の表情を閉じ込めた商品です。



▲『水影 美ら海(上)』『水影 美ら波(下)』


『水影』には2種類の模様をご用意しました。『美ら海(ちゅらうみ)』は海の底に映るゆらぎをイメージし、『美ら波(ちゅらなみ)』は波しぶきが上がる瞬間をとらえたようなデザイン。光を当てると、水面が揺れるような影が浮かび上がり、空間にやさしい表情をもたらします。すべてガラス職人が一つひとつ手作業で仕上げているため、同じ模様は一つとしてありません。

琉球ガラス村紹介動画


『水影』が生まれる琉球ガラス村の紹介動画です。インタビューを織り交ぜつつ、仏具が出来上がる過程を撮影しました。波模様が出来上がる神秘的な過程と、ガラスのきらめきをぜひ動画でご覧ください。

琉球ガラス村

この仏具を手がけるのは、沖縄本島最南端にある琉球ガラス最大の工房「琉球ガラス村」。ショップや体験教室も併設されており、琉球ガラスの歴史や製作工程、道具などを学べる観光地としても人気を集めています。



▲ガラスが貼り付けられたカラフルな建物。撮影スポットとしても人気。


工房には、現代の名工や沖縄県工芸士として認定された熟練の職人たちが多数在籍しています。『水影』はそのひとり、友利龍(ともりりゅう)氏が手がける「水の光と影」をテーマにした器シリーズがもとになっています。『美ら海』と『美ら波』は、その作品を仏具として再構成し、新たに開発されました。



▲琉球ガラス村内のショップ。友利氏の器も多く並ぶ。


琉球ガラス村では、実際に器が作られる様子を見学することができます。窯の温度は約1300℃にも達し、工房内は40℃を超えることもあるほどの過酷な環境。ガラスは熱く柔らかい状態でしか成形できないため、作業はまさに時間との勝負です。職人は、窯から出した「下玉(しただま)」と呼ばれるガラスのかたまりに息を吹き込み、素早く形を整えていきます。作業が進むにつれ、火の玉のようなガラスの中に、水のような模様が現れていく光景は、何度見ても不思議で神秘的です。



▲一晩かけて原料を溶かした坩堝(るつぼ)。ここからガラス作りがスタートする。


出来上がった器には、それぞれ異なる表情とぬくもりが宿っています。仏具として手元に置いたとき、水と光の記憶がやさしく祈りに寄り添ってくれることでしょう。

【特別対談】仏具『水影』開発秘話

『水影』の生みの親である沖縄県工芸士・友利龍(ともり りゅう)氏と、開発に携わった現代仏壇 商品企画課の横山が対談を行いました。『水影』のルーツや製作の難しさ、そして友利氏がガラスに込める想いについて、じっくりと語っていただきました。


——まずは仏具『水影 美ら海/美ら波』が生まれた経緯についてお聞かせください。
横山 全国各産地のおしゃれなガラスを探していたところ、友利さんの『水影』を見つけました。琉球ガラス村で実物を見てその美しさに感動し、是非仏具を作って欲しいとお願いしたのが始まりです。
友利 作品は手作りですので、作り手の気持ちや想いが宿っていると思うんです。そういった僕の想いが横山さんに届いて、気付いてくださったのがとても嬉しく思います。


——そもそも友利さんがガラス職人になったきっかけは何ですか?
友利 母が琉球ガラス村に勤めていて、高校生のときにアルバイトで職人さんのお手伝いをしていました。そこでガラスの魅力に取りつかれたのがきっかけ。その頃から海が大好きで海に近い場所に工房もあるので、海と行き来しながら…という生活でした。
横山 『水影』が生まれたのもそういった思い出から?
友利 海が好きで毎日のように見に行っていたので、海をガラスで表現したいというのが根底にあり、最初の作品も水を表現した花瓶でした。海で過ごすと時が経つのも忘れ、本当に心が休まる大切な時間だと思います。
横山 ご自身の好きなものを表現するというのが作品にも表れていて、そこが大きな魅力になっているのではないかと。
友利 やっぱりとりあえずは自分なんですよ。僕が癒されて気持ち良い、心地いい、そういったものを作りたい、それを表現できたら人にも伝わると思っています。



——以前、琉球ガラス村の取り組みとしてヴェネツィアの工房で修行されたと聞きました。
友利 はい、10年程前に行きました。マエストロ(ヴェネツィアンガラスの熟練職人)のガラスに対する姿勢が本当に研ぎ澄まされていて、とても勉強になりました。
横山 それから今の『水影』に繋がっている部分はありますか?
友利 あります!もちろんです。『水影』が生まれたのもヴェネツィア修行に行った後です。その時に学んだ技術や道具も取り入れています。
横山 なるほど。でも作りたいと思って、すぐ形にできるものなのでしょうか?
友利 いえ、…3年くらいかかりました。下玉にガラスの粉と粒を付けて模様を作ります。製作過程を見ていると本当に面白いんですけど、ガラスが自然に模様を作っています。触らないほどイメージに近づくので、崩れないよう触るタイミングを見極めるのが難しく、個人の感覚でしかできない部分です。
横山 そこが高い技術ですよね。完成まで試行錯誤されたということですが、今も作るのは難しいですか?
友利 はい。細心の注意を払うと言いますか、気をつける点を頭の中で考えながら、なるべく触らないように成形しています。特に今回の仏具でも茶湯器や仏飯器のような小さいサイズのものは、吹きガラスだと作りづらい部分もありますね。
横山 そういえば『美ら海/美ら波』は、他の(水影の)作品より厚みがありますよね?
友利 はい。ガラスは厚みがあるほど綺麗で、海の表現もしやすくなります。厚みは用途に応じて変えるのですが、仏具は厚みがあった方が安定もしますし、より海らしさを表現できるので相性ぴったりだと思います。


——最後にこの仏具に込めた想いを教えてください。
横山 仏壇に入れるとライトが当たって…それが太陽に照らされた海のように見えてとても綺麗で。海の様子が幻想的に表現されていると思います。この仏具が多くのお客様のところに届いて欲しい。故人様が海を好きだったとか、海の仕事をしていた、海に思い入れがある…そういった縁で選ばれる方に伝わるもの、素敵なものだと思っています。
友利 僕としても、ガラスには心が休まる場所を表現しているので…使っていくうちにご家族の思いや、幸せだったり安らぎだったりと、お客様に寄り添うような仏具になってくれればいいなと願っています。



▲友利氏作『水影-水龍-』自身の名前をモチーフとした代表作の一つ。龍には水影模様が施されている。

<商品ページ>
『水影 美ら海(ちゅらうみ)』
『水影 美ら波(ちゅらなみ)』

実物はお近くの現代仏壇の店舗ギャラリーメモリアでぜひご覧ください。デジタルカタログもご用意していますので、気になる方はぜひチェックを。

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このコラムについては
八木研の商品企画室に勤務し、商品の企画・デザイン・開発に関わっています。商品にまつわるこだわりや、開発の裏話など、カタログに収まりきらない情報を公開し、現代仏壇の魅力を伝えていけたら良いと思います。