仏壇のあるリビング

大阪市の夢洲からほど近い、O様のマンション。最上階の開放的なサロンルームに、壁掛けの仏壇「離宮」が設置されています。

このマンションを所有するO様ご夫婦は2階に、4階の最上階にはO様のお母様が暮らしていらっしゃいましたが、お母様は数年前にご逝去。それから少し落ち着いた頃、Ｏ様ご夫婦は“ある想い”から4階フロアのリフォームをして、仏壇を買い替えられました。

「私はソムリエの資格を持っているので、この場所でワインのセミナーを開いたり、大阪万博で訪れた観光客をおもてなしできるサロンにしたかったんです」奥様がそう仰いながら、リフォームした内装のこだわりを一つ一つ案内してくださいました。





ステンドグラス風のウィンドウや和モダンなインテリア照明、アイアンフレームの家具など、随所に大正モダンを感じられるおしゃれなスペース。入ったとたん、誰もが目を輝かせるに違いない空間です。

リフォームをする以前はこの場所に和室があり、そこで立派な金仏壇を祀っていたというＯ様。「代々引き継がれてきたものでしたが、サロンの雰囲気には合わないし、何よりここに来てくれるお客様に気を遣わせたくなくて…。なので、一見すると仏壇には見えないモダンなデザインに買い替えようと思いました」



新しい仏壇は壁面収納の中に設置して、来客時には収納の扉を閉めて完全に隠せるようにとお考えだったそうです。「でもそれだと、なんだか仏壇を閉じ込めてしまうみたい」そんなモヤモヤした気持ちを、ギャラリーメモリアのスタッフに打ち明けました。



そこでスタッフが提案したのが、町屋をモチーフにした壁掛け仏壇の「離宮」でした。ウォールナットの格子戸は閉じていても内部の様子が伺えて、構想していたサロンのイメージにもマッチします。「これなら部屋にぴったり！」一目で気に入ったというO様は、早速届いた仏壇に合わせてリフォームを進め、ついに理想のサロンが完成しました。



しかしどうして仏壇を2階のご自宅ではなく、4階のサロンに設置したのでしょうか。その疑問にＯ様は笑顔で応えてくださいました。「私達夫婦は仕事で留守にすることが多くて…。このサロンに設置すれば、兄や親戚、息子の家族がいつでも気軽に手を合わせられると思いました。それにここは元々母が暮らしていた場所。人が集まるあたたかな空間の様子を、一緒に見ていてくれるんじゃないかな」



お母様は最晩年までお元気で、ご夫婦と一緒に色々な場所にお出かけになっていたそうです。そして体調を崩されてから亡くなられる瞬間まで、ずっと付き添われていたという奥様。おしゃれだったお母様のイメージがぴったり重なる赤色の仏具を奥様がコーディネートされ、その隣には、O様が手彫りして贈られたという可愛らしい仏像が微笑んでいました。



「仏壇を買い替えてからは、毎朝自然に声をかけることが出来て、向かい合うのが楽しみになりました」仏壇を見つめるご夫婦の表情は、穏やかな愛に満ちていました。

ご夫婦の夢と、家族やお客様を気遣う気持ち、そしてお母様への想いでカタチになった理想のサロンルーム。ワインセミナーや大阪万博のお客様がサロンで楽しく過ごすひとときを、きっとお母様も笑顔で見守ってくださるのではないでしょうか。