『灯りの仏壇』誕生秘話、ステンドグラス工房を訪ねて

祈りの空間を照らす『灯りの仏壇』

ステンドグラスの美しい模様が目を惹く、仏壇『ブリリオ(写真上)』『アンティコ(写真下)』。ガラスを通した光はやさしく零れ落ち、まるでランプのようにお部屋を照らします。その幻想的な佇まいに、一目惚れしてご購入される方も少なくありません。



照明にも細やかな工夫が施されており、2灯のダウンライトが内部を明るく照らしながら、周囲にも美しい色彩を映し出します。扉と内部のほぼ全面にガラスを使用しているため、どの角度から見てもステンドグラスの輝きを楽しめるのも魅力のひとつです。


また形状は一般的な箱型ではなく、めずらしい八角形。アンティーク調の家具に自然と溶け込みつつ、どこか懐かしさを感じさせるノスタルジックなデザインは、和室との相性も良好です。モダンとクラシカルが調和した、特別な祈りの空間を演出します。

『アンティコ』紹介動画


アンティコの紹介動画をYouTubeでご覧いただけます。

ステンドグラス工房「studio KAZ」を訪ねて

長野県安曇野。北アルプスを望む自然豊かな山あいに、ステンドグラス工房「studio KAZ(スタジオ カズ)」はあります。ここで『アンティコ』『ブリリオ』に使われている、印象的なステンドグラスが一枚一枚、丁寧に作られています。工房を営むのは、大須賀昭彦さん・和子さんご夫妻。ステンドグラス仏壇が誕生した背景を伺うべく、お二人のもとを訪ねました。


ご夫妻の出会いは、なんとロンドン。昭彦さんは現地でカメラマンとして勤務しており、和子さんは語学留学中だったそうです。その後、結婚してバルセロナへ。まだ“ものづくり”とは縁のない日々でしたが、「住んでいたマンションの装飾や、仕事での撮影など、今思えばステンドグラスは日常の中にあったのかな」と昭彦さんは振り返ります。


帰国後、転機が訪れます。和子さんが京都の自宅近くにあったステンドグラス教室に通い始め、さらに昭彦さんが勤務していた喫茶店が、偶然にもガラス作品を扱うショップだったのです。「そこでガラス作家さんたちに出会ったのがきっかけ」最初は参考書籍を片手に、手探りでの制作だったといいます。



▲和子氏が初めて制作されたランプ。壁に映る灯りも幻想的で、今の作品の原点が窺える。


ご夫妻の作品は、ランプが中心。シックで繊細な表情を持つガラス使いが特徴です。「ステンドグラスといえば、アール・ヌーヴォー風の華やかな装飾が主流。でも、自分たちはそこにあまり惹かれなかった。だからこそ、オリジナルを追求した」と語るように、作風はシンプルモダンでありながら、どこか和の趣も感じさせます。日本の住空間にもよく馴染むデザインです。



制作は、夫婦二人三脚で行います。まずは一緒にデザインを話し合い、3D図面で設計。その後、ガラスのカットや組み立ては昭彦さん、はんだ付けは和子さんが担当します。



▲製作中の『アンティコ』。切り出したガラスを図面に置き、細部を調整していきます。特に曲線と曲線を合わせる作業は難しく精度を求められます。


ステンドグラスの魅力は、光によってさまざまに表情を変える点にあります。見る角度や時間帯、照明の強さによっても印象が異なるため、作品の完成度を左右する「ガラス選び」には細心の注意が払われています。『アンティコ』には、光を受けてキラリと輝くプリズムガラスをアクセントに使用。一方の『ブリリオ』は、表面にサンドブラスト加工を施すことで、やわらかな光を生み出す質感に仕上げています。



使用されているガラスはすべて海外から輸入されたもので、手作りゆえに同じものが入手できるとは限りません。商品のイメージを損なわないよう、ひとつひとつ丁寧に見極めながら選定しているとのことです。

開発当時を振り返って

ご夫妻が長年大切に保管してきた一冊のファイルを見せていただきました。そこには初期のデザイン提案からガラスの図案、細部にわたるスケッチまで、膨大な記録が丁寧に綴られており、おふたりのこだわりと長い歳月をかけて築かれてきた制作の軌跡が詰まっていました。



ステンドグラス仏壇が生まれたきっかけは、当社が直営店・ギャラリーメモリアに飾るランプを購入したことから始まります。「まさかそこから仏壇を作ることになるとはね」と、昭彦さんは当時を振り返ります。


当初検討されていた仏壇のデザイン案については、「四角い箱の人形ケースみたいでピンと来なかった」とのこと。そこで、ご夫妻から提案されたのが、ステンドグラスを主役に据えた八角形のスケッチでした。実際にその図面を見ると、今の『アンティコ』そのままの形が描かれていました。その時は参考になれば…と思っていたため「まさか採用されるとは!」という驚きもあったそうです。



仏壇や供養の話に移ると、つい最近「供養」という言葉の意味をより深く感じる出来事があったとお話に。亡くなった家族のためにランプを購入されたお客様から、「厨子の隣に飾っている」と写真を見せてもらった和子さんは、「故人様に語りかける場所づくりのお手伝いができたのかなと思ったの」


また、昭彦さんも最近ご兄弟を亡くされ、供養を考える機会が増えたといいます。「例えばローソクを灯して、灯りの中にその人がいる…そんな風に想像した際に気持ちの向かう先。何か一声かけたい時のために仏壇があるんじゃないかと思う。宗教じゃなくて目に見える形の繋がりとでも言うのかな。私たちの作る仏壇が、そういう存在になってくれたら嬉しい」と、静かに語ってくださいました。



大切な人を想う時間を、やわらかな光がやさしく包む。『アンティコ』『ブリリオ』には、ご夫妻の思いと長年の歩みが、そっと宿っています。

<商品ページ>
・アンティコ
・ブリリオ

実物はお近くの現代仏壇の店舗ギャラリーメモリアでぜひご覧ください。デジタルカタログもご用意していますので、気になる方はぜひチェックを。

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このコラムについては
八木研の商品企画室に勤務し、商品の企画・デザイン・開発に関わっています。商品にまつわるこだわりや、開発の裏話など、カタログに収まりきらない情報を公開し、現代仏壇の魅力を伝えていけたら良いと思います。